来年の4月に娘が小学校に入学します。仕事は今のままフルタイムで続けようと思っているのだけど、「小1の壁」があるよとママ友から言われて、なんだ不安になってしまって。
1年生の担任は3回ほど経験があるのですが、そのときのお母さんたちの様子などを交ながら「小1の壁」についてお答えしたいと思います。
この記事を読んでわかること
・小1の壁とは
・「小1の壁」で心配なこと、そして、その解決策9選
・「小1の壁」に突き当たり、退職して良かったというお母さんの話
小1の壁とは?
小1の壁とは共働きやひとり親世帯において、子どもが小学校にあがるタイミングで、仕事と育児を両立することが難しくなることをいいます。
その原因は、小学校に上がると放課後に子どもを預ける際は公立の学童にお願いするケースが多いのですが、保育園ほど長い時間預けられないことが多いためです。
さらに、人口の多い地域などでは、学童の人数制限があるため、入所待ちといったケースも見受けられます。
また、私立の学童も増えてきてはいますが、費用が高いため保護者の負担増も大きな課題です。
こうした「小1の壁」を乗り越えるために、退職してしまう保護者も多くいます。
退職して良かったという保護者もいれば、後悔をするケースもあるなど、それぞれの状況に応じて感じ方もさまざまです。
こうした状況におけるお母さん方の生の声も交ながら、もう少し詳しく述べていきたいと思います。
「小1の壁」で心配なこと、その解決策9選
「小1の壁」について心配なことと、その解決策についてお伝えします。
① 学童の時間が短い
② 学校の情報を得にくい
③ 学級閉鎖への対応
④ 夏休みなどのお弁当
⑤ 宿題・勉強
⑥ 授業参観・懇談会
⑦ PTA活動・親父の会
⑧ 持ち物
⑨ 周囲の意識
① 学童の時間が短い
公的な学童保育の預かり時間は、一般的には学校の終わる時間〜18時まで程度。そして、多くの学童では延長で19時まで預かってもらえるという感じです。
民間の学童では、その施設によって大きく違いますが、延長して21時まで預かってくれるところもあります。
公的な学童の場合、19時まで残っている子どもが少ないという施設も多く、お母さんにとっては寂しい思いをさせてしまうのではという心配もありますね。
じゃあどうする?
→ 親子で慣れる
遅くまで残っている子どもの数は施設にもよるので、一概には言えませんが、もし人数が少ない場合は逆に指導員の方の目も行き届きやすいので、お母さんの気持ちを割り切って様子を見ることも大切です。
→ 民間の学童に通わせる
民間の学童の場合、21時程度までの延長が可能なところもあります。
そして、学童の中で英会話などの習い事ができたり、食事を用意してくれたりということもあります。
ただ、費用がそのぶん余計にかかるため、せっかく働いた分以上に出費が多くなってしまうケースもあるのでよく検討しておく必要がありますね。
→ お母さん、お父さんの働き方を変える
思い切ってお母さんまたはお父さんの働き方を考えるいいチャンスかもしれません。
会社によっては、時短勤務やフレックス、リモートなどの勤務形態を選べる場合もあります。
一度夫婦で考えてみるのも大切なことです。
② 学校の情報を得にくい
保育園に通っていたころは、お迎えのときに園での様子を保育士さんから聞くことができたので、毎日のように、大人の目からみた子どもの様子をある程度は把握できたと思います。
でも、小学校に入るとお迎えがなくなり、先生から直接子どもの様子を聞く機会は大きく減ってしまいます。
また、学童にお迎えにいったあとでは、子どもとゆっくり学校の話をする時間も取れず、結局、情報不足となってしまうケースが考えられます。
じゃあどうする?
→ ママ友から情報を得る
保育園のころから仲良くしているようなママ友がいれば、そのママ友から学校の様子などを聞いてみるのも1つの方法です。
→ 一緒に登校する近所の友達のお母さんと情報交換をする
もし、朝、子どもを見送るときに時間があるようだったら、近所のお母さんと情報交換ができるといいですね。朝の時間では無理そうであれば、ぜひ一緒に通うお子さんのお母さんとは連絡を取り合えるようにしておくだけでも、いざというときに助かります。
→ 気になるときには遠慮なく担任に連絡をとることも大切
気になることがあっても、ママ友たちからの情報ではよくわからないようなときには、遠慮なく担任と連絡を取ることが大切です。
なにか問題があっても早い段階の方が、スムーズに解決できます。
→ 子どもから話を聞いてみる
普段からできるだけ子どもの話を聞くようにしておくことも大切です。
ただ、子どもの話を信じてあげることは大切ですが、信じ過ぎないようにすることも大切です。
どうしても子どもなりに都合よく話してしまうこともあるし、状況をよく理解していない状態で話すこともよくあるものです。
大切なのは、いろんなところから情報を入手して、いろんな角度から子どもの様子をみてあげることです。
1つの情報源に頼ってしまうとどうしても見方が偏ってしまいがちです。
③ 学級閉鎖への対応
インフルエンザの時期になると学級閉鎖などが起こる可能性があります。
一度閉鎖になると3日程度は学校に行けず、また、学童も学校に通っている時間は開いていないし、学級閉鎖のクラスの児童は健康でも受け入れてくれないケースもあります。
じゃあどうする?
→ 身内で対応
実家が近ければいいのですが、そうでない場合、お父さん、お母さんの兄弟まで総動員して対応しているケースもあります。やはり身内が一番、安心ということもありますよね。
→ 民間の学童の一時預かりを利用
民間の学童では、一時保育を扱っているところもあります。普段からそうした情報も集めておくといざというときに助かります。
→ 民間シッターを利用
民間シッターを普段から利用していれば、急な対応もスムーズだと思います。ただ、普段利用していない場合には、よさそうなところを探して、登録だけでもしておくといざというときに安心です。
→ 1人で留守番
どうしてもというときには、1人で留守番をさせることも考えられます。その際には、電話や宅配などには出ないなどのルールを事前に決めておく必要がありますね
→ ママ同士で助け合う
同じ学童に通わせているお母さん同士で連携して、預かり合うことができれば助かりますよね。急に計画するのは難しいので、普段から学級閉鎖などの対策として、関係作りをしておくことも大切です。
④夏休みなどのお弁当
夏休みなどの長期の休み中にお弁当や給食の対応をしてくれる学童はまだ少数です。
ほとんどの学童では、お弁当を持参することになり、忙しい家庭では負担になることは間違いありませんね。
じゃあどうする?
→ 弁当作りの手間を減らす
冷凍食品やおかずの作り置きを活用して、対応していくことが一番多いケースだと思います。スーパーのお惣菜など夕方に安売りをしているときには、ちょっと多めに買い込んで小分けにして冷凍しておくことで、お弁当にも活用できます。
→ 食材の宅配サービスの活用
最近では、食事だけでなくお弁当用の食材を宅配してくれるサービスもあります。
自分で買い物をして作るより費用は高くなりますが、買い物の手間やメニューを考える手間を減らすことができて便利なサービスではありますね。
⑤ 宿題・勉強
保育園ではなかった宿題が小学校に入ると出される可能性が高いです。
地域や学校、またクラスによっては、宿題を出さないという方針のところもありますが、基本的には宿題が出されることの方が多いでしょう。
また、宿題だけでなく普段の勉強についていけているかなどの心配もありますよね。
じゃあどうする?
→ 宿題は学童で終わらせる
学童ではまず、宿題をやる時間がスケジュールの中に組み込まれているところがほとんどだと思います。
同級生の友達や上級生もいるので、わからないところなどを教え合ったりすることも可能です。
→ 夏休みの自由研究はネットで情報収集、そして無理をしない
問題なのは夏休みの自由研究などですね。1年生で難しい自由研究を宿題にすることはあまりないのですが、学校によっては低学年でも自由研究を宿題にしているところはあります。
そうした宿題に学童では対応しきれないので、やはり家庭でみてあげる必要があります。
最近ではインターネット上に自由研究を扱った情報が豊富にあるので、そうしたところを参考にしたり、お休みの日に家族で図書館に出かけて、夏休みの特設コーナーなどで本を探してみるのもおすすめです。
基本的にはあまり無理をせず、子どもが楽しみながらできることに取り組むといいでしょう。
⑥ 授業参観・懇談会
授業参観を土日に開催しいる学校であれば参加しやすいのですが、平日だと夫婦で仕事を休んだりと、日程の調整が必要になりますね。
また、授業参観はお父さんの参加率も高いのですが、その後の懇談会にはお父さんの姿がほとんどなく、お母さんが出席しないと・・というケースも多くみられます。
じゃあどうする?
→ 懇談会で関係作りを
1年生の授業参観・懇談会にはぜひお父さんかお母さんのどちらかが参加して、子どもの様子やクラスの様子を見てみることが大切です。
忙しいとはいえ、どちらかの仕事の日程を調整して参加できるといいですね。
→お父さんも懇談会に参加を
お父さんも参加することになったときには、ぜひ、懇談会にも参加してもらいましょう。そうした場にお父さんが参加することで、お父さんの教育への意識も変わってくるものです。
また、担任からしてもお父さんが懇談会に参加してくれることは、とても嬉しいことです。
(担任としての経験談)
→ 親同士のネットワーク作りを
懇談会への参加のメリットとして、お母さん同士、お父さん同士の関係作りができ、大切なネットワークづくりの一歩になります。
顔を知っているだけでも何かあったときに電話で話しやすいものです。
⑦ PTA活動・親父の会
子どもが小学校にあがったときにどうしても気になるのがPTA活動ではないでしょうか。
最近では、PTAがない学校も出てきています。
また、基本的にはPTA活動は任意参加の団体なので、入らないという選択肢もあるのですが、そうはいっても入らないでいるのもやりづらいということもあるでしょう。
そんなPTA活動では、できるだけ低学年のうちに委員を受けておいた方がいいよ、などと先輩ママからアドバイスを受けることも多いと思います。
また、親父の会があるのだけど参加したほうがいいのかな?などという疑問もあることでしょう。
じゃあどうする?
→ PTA活動を活用する
PTAの委員については、私の経験した学校では低学年だから委員の仕事が楽だということはないと感じてきました。
なので焦って1年生のうちに委員を引き受けなくてはと思うことはないと思います。
ただ、委員を受けることでPTA活動の様子を早い段階で理解できたり、学校の様子を定期的に見ることができたり、活動をとおしてお母さんどうしの関係ができたりというたくさんのメリットがあります。
そして何よりお母さんがPTAの委員として学校に顔を見せるということは、お子さんにとっても安心感につながります。
→ 親父の会への参加
親父の会への参加はお父さんの意識改革にもなるもし学校に親父の会があるとしたら、参加をおすすめします。私自身、娘が小中学校に通っていた9年間親父の会に参加してきて感じたことです。
その良さは、まず普段なかなか知り合えない地域の繋がりを作ることができることです。しかも同じ学校に子どもを通わせているという共通点もあるので、安心して参加できます。
親父の会の活動では、先生方と交流する機会もあるので、お子さんのことで何か課題があったときなどもすぐに対応してもらいやすいです。
⑧ 持ち物
小学校は給食の白衣など、教科書やノート以外の持ち物も意外と多いものです。
学校でも持ち物の連絡はなるべく早い時期にしてはいるのですが、忙しいお母さんにとってはなかなか大変なのが実情です。
また、お便りに気づかないことや、子どもが連絡帳に書き忘れてしまったり、家で連絡帳を見せ忘れてしまったりということもあります。
じゃあどうする?
→ お便りにはよく目を通す
基本的には、学年だよりや学級だよりによく目を通すことが基本です。
あとは、年間の行事予定で大体の1年間の予定を把握しておくことや、学校だよりで毎月の行事の様子なども把握しておくことも大切です。
→ 連絡帳を親子で確認する習慣づくり
持ち物や時間割など、子どもが連絡帳に書いてくることもあるかと思います。
何も書いていなかったとしても、毎日、家に帰ったら親子で連絡帳を確認する習慣をつけることが大切です。
近い将来には連絡帳もスマホのアプリになる日がくるとは思いますが、しばらくは紙の連絡帳が続くと思います。
⑨ 周囲の意識
子育てに理解のある職場ならいいのですが、子どもが小学校に上がると育児もひと段落して楽になるという程度の認識しかもっていない場合もあります。
そんな職場の場合、今まで以上に休みを取りにくくなってしまう可能性もありますよね。
じゃあどうする?
→ 職場の意識改革
これは結構ハードルが高いかもしれませんね。
同じように子育て中のお母さんが職場に複数いればお互いに理解しあって協力しあうことが近道です。
1人でも多く仲間をつくることが大切ですね。
→ 仕事を変える
収入は減ってしまうかもしれませんが、子どもがある程度成長するまでということで、放課後の時間や学校の行事などに対応しやすい仕事に変えることも大きな効果があります。
ただ、お母さんによっては、とても負担の大きなことも事実ですね。
→ 専業主婦になる
なかには思い切って仕事をやめて専業主婦になってしまうお母さんもいます。私が1年生の担任をしていたときにも数人、そのようなお母さんと出会いました。
収入の面などの課題はあったようですが、低学年のうちだけでもということで、子育てに専念していました。
「小1の壁」に突き当たり、退職して良かったというお母さんの話
私は3回ほど1年生の担任をしたことがあります。その中で実際に関わったお母さんの話です。
そのお母さんは結婚前からフルタイムの仕事に就いていて、結婚後も継続していました。赤ちゃんが生まれてからも、産休、育休、保育園等とフルに活用して、仕事を継続していました。
でも、娘さんが小学校に入学する際にどうしても「小1の壁」を乗り越えられなそうだということで、退職を決心したのです。
そのお母さんから伺った退職のメリットとデメリットをお伝えします。
<メリット>
●学校に出かけていく子どもをゆっくり見送れる
●子どもが小学校に行っている時間に自分の時間を確保できる
●学校から帰ってくる子どもを自宅で出迎えられる
●近所のお母さんたちとのネットワークができた
●PTA活動にも気持ちの余裕をもって参加できた
●子どもの給食が始まってからはパートにでることができるようになった
●子どもの話をゆっくり聞くことができるようになった
●食事の準備に時間をかけられるのでメニューも豊富になって家族から喜ばれるようになった
<デメリット>
●収入が減った
●仕事という自分の居場所を失った
これはあくまでも1つのケースです。
全ての方に当てはまることではないのですが、こうしたメリットやデメリットをよく考えることが大切ですね。
じゃあどうする? まとめ
「小1の壁」への対応で大切なことをまとめます。
①ママ友ネットワーク作り
②情報収集、可能なサポートの活用
③夫婦で相談して対処
④働き方や仕事量の調節
(フレックスタイムや在宅勤務)
一番大切なのは、なによりも「お子さんの安心と安全」。
そして、その「安心と安全」と「お母さんの生きがい」のバランスをうまくとりながら、「小1の壁」をうまく乗り越えていってほしいと願います。
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