独特の作風をもつ絵本作家 ヨシタケ シンスケ さんの『ぼくのニセモノをつくるには』を家族で読むと、最高の笑顔になれます!
そんなステキな絵本『ぼくのニセモノをつくるには』のあらすじ、感想、そして家族で読むメリットなどをお伝えします!
ヨシタケシンスケ著『ぼくのニセモノをつくるには』あらすじ
宿題、お手伝い、部屋の掃除、やりたくないことだらけでゲンナリした主人公のぼくが思い立ったのは、自分のニセモノを作って、そいつに全部いやなことをやってもらうこと。
お小遣いを全部使って買ったのは、ロボットでした。
さてさて、ロボットを買って、ぼくのニセモノになってもらおうという発想はよかったのですが、そっくりになってもらうのは大変なことでした。
自分のことを徹底的に教えなければならないのですから。
まずは、名前と家族から。
名前:よしだ けんた
性別:男
・・・
お父さん:たけし
・・・
次は外からみた感じ。
大きな頭から、おしりのホクロ、そしてスキップが下手な足。まで。
これでいいかなと思ったのですが、ロボットは「けんたくんらしさ」がわかんないですね、と・・
そこでけんたは、自分の好きなものときらいなものを紹介したのです。
好きなものは、味付きのり
・・・
きらいなものは、作文の宿題
・・・
次は、できることやできないこと。
できることは、ウインク
・・・
できないことは、卵を上手に割る
・・・
そして次は、赤ちゃんだった頃のことから今の自分まで。
「いろんなことを おぼえて いま ぼくは ここにいる。」
ぼくは、「あとがのこる」 のコーナーでは、
食べ散らかしたあと、
給食をこぼしたあと、
などなど、いろんな痕跡が・・
「ぼくは、マシーンである」 のコーナーでは、自分が「うんち製造マシーン」であるわけや、「けんたラジオ」であるわけなど、作者のヨシタケさんらしい絵と説明がいっぱい!
そのマシーンはまだつくり途中。
天気や前の日の出来ごとで、気持ちがコロコロと変わることも説明。
ここまでくると、説明を聞いていたロボットも「けっこう わかってきましたね」といいます。
でも、また質問が「ちなみに『みんなからみた けんたくん』って かんがえると どんな かんじですかね?」
そこでけんたは、まわりの人たちから見た自分について説明するのです。
おかあさんから見たけんたは、「マイペースでいうことをきかない長男です。」のように、お父さん、先生、おばあちゃん、おいしゃさんなどたくさんの人から見た自分について、それぞれの人の目を通してロボットに説明するのでした。
そして、自分にはいろんな居場所があり、その居場所によって役目が違い、自分が使い分けをしていることも話しました。
次は、「ぼくしかしらないことがある」と、自分の頭の中だけで考えていて、決して人には言わないこともロボットには話してあげました。
ここまで、自分のことを説明し続けたけんたは、気づくのでした。
「つまり ぼくのうちがわには ぼくしか はいれない ぼくだけの せかいが もうひとつ あるってことだ。」と。
「ぼくは『ひとりしかいない』」ってことに気づくのでした。
「人間は一人ひとり形の違う木で、自分の木を気に入っているかどうかが一番大事」というようなことを言っていたおばあちゃんの言葉を思い出し、けんたは自分のことをいろいろ考えることが楽しくなってきたのでした。
さて、家についたロボットは、けんたになり切れたのでしょか?
ヨシタケシンスケ著『ぼくのニセモノをつくるには』感想
子どもの絵本にしておくのはもったいない!これが私の感想の全て。
と言ってしまうとこれで終わってしまうので、どんなところが大人にも読んで欲しいのか、もうちょっと詳しく書いてみたいと思います。
主人公のけんたが、自分のニセモノをつくるという1つのテーマを進めていく中で、3年生なりに自分のことを客観的に見つめていくというストーリーがなんだか絵本らしくないなと感じました。
らしくないと言ってしまうと言い過ぎだけど、このテーマは子どもだのものではなく、むしろ大人にとって大切なのかななどと考えてしまうのです。
でも、きっと絵本という形で出会うからこそ、笑いとともにスッと心に入ってくるのでしょうね。
所々に出てくる説明書のようなページ。説明書というか設計図というか、構造図というか、ヨシタケシンスケさんの絵本にはよく出てくる作りですが、この作りがとても大好きなのです。
そして、最後に近いページに出てくる「ぼくは『ひとりしかいない』」のお話は、おばあちゃんがけんたに語った話ですが、「自分の人生は自分の好きなように決められる」、そして、「自分を好きになることの大切さ」は、子どもだけでなく大人こそ大事にしていかなければならないことだなと、改めて考えさせられるのでした。
ヨシタケシンスケ著『ぼくのニセモノをつくるには』は家族にこんなメリットが!
この本を家族で読むことの良さを2つご紹介します。
① 家族のコミュニケーションが豊かになる
② 子どもの自己肯定感がアップする
① 家族のコミュニケーションが豊かになる
この本のいいところは、家族のコミュニケーションがとっても豊かになるところです。
なぜかと言うと、親子でこの本を読み進めていき、その都度、お父さん、お母さんのことそしてお子さんのことなどに立ち返って、それぞれの特徴を楽しく語り合うことができるので、より深い自己理解や家族理解につながるからです。
だから、この『ぼくのニセモノをつくるには』を家族で読むことは、家族の豊かなコミュニケーションにつながるのです。
② 子どもの自己肯定感がアップする
この本を読むことで、子どもの自己肯定感が育まれます。
家族でこの本を楽しみながら読むことで、子どもは自分のマイナス面にも目を向けることになります。
しかし、本のストーリーがとても楽しく、そして、ユーモアにあふれているため、子どもは自分のマイナス面を素直に受け止めることができるのです。
家族でそうした読み方をしているなかで、子どもはありのままの自分を受け止め、ありのままの自分を好きになることができ、自然と自己肯定感が高まっていくのです。
ヨシタケシンスケ著『ぼくのニセモノをつくるには』本の概要
題名:『ぼくのニセモノをつくるには』
作者:ヨシタケ シンスケ
出版社:ブロンズ新社
発行日:2014年9月25日
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ヨシタケシンスケ著『ぼくのニセモノをつくるには』作者紹介
本の中にある作者 ヨシタケ シンスケ さんの紹介文を載せます。
ヨシタケ シンスケ1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究家総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表している。初の絵本作品となる『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん対象第1位、第61回産経児童出版文化美術賞など数々の賞を受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)などがある。2児の父。
『ぼくのニセモノをつくるには』
じゃあどうする? まとめ
ヨシタケ シンスケさんの絵本が大好きで、本屋に行くと必ず絵本のコーナーで足を止めます。
子どもの絵本としても評判ですが、私自身は大人の絵本かな、と思っています。
きっと大人のファンも多いことでしょうね。
さてさて、手元にはまだ何冊もヨシタケ シンスケさんの絵本があるので、少しずつ紹介していきたいと思います。
まず、みなさんもこの絵本を手にとって、家族みんなで最高の笑顔になってくださいね!
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