独特の作風をもつ ヨシタケ シンスケさんの『りんごかもしれない』をご紹介します。たった一つのりんごでこんなに世界が広がるのか!と作者の想像力に驚かされる一冊です。
あらすじや感想、そして作者の紹介もあります!
ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』あらすじ
ある日、学校から帰った少年はテーブルの上に置いてあるりんごを発見します。
「・・・でも・・・もしかしたら これは りんごじゃないかもしれない」
ここからこのお話は始まります。
少年は「もしかしたら・・」と想像の世界へ!
大きなサクランボの一部かも?と想像したり、反対からみたらミカンかもしれないと想像したり。実はメカがぎっしり詰まったものなもかも・・
りんごの中にある機械の絵は、ヨシタケシンスケさんの他の絵本にも同じような感じで出てくるのですが、じっくり見ていくと、よく考えられていて、本当にありそうだななんて引き込まれてしまいます。
「じつは かみのけとか ぼうしが ほしいのかもしれない。」のページでは、りんごがいろんな髪型に変身します。なかにはリーゼントやシルクハットなど、子どもにはなかなか縁のない髪型もあるのですが、こんなところで出会っておくのも楽しみのひとつ。
さてさて、ページをめくると、りんごは実は一つの星で、そこには、小さなりんご星人が暮らしているかもしれないというお話。体長3ミリの小さなりんご星人は、りんご星の上で楽しそうに暮らしています。そんな様子を少年は虫眼鏡でのぞいています。
「こころが あるのかもしれない。」のページでは、りんごに心がある様子を想像したり、兄弟がいることを想像したり。この兄弟のところは、「あ」から「ん」までのひらがなが出てくるので、小なお子さんのひらがなの勉強にも向いているかもしれませんね。
思い切って食べてみるという想像では、味やかみごたえに合わせた顔の表情が読者の心を捉えます。
そして最後は・・・
本を手にとって読んでみてくださいね(^O^)/
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ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』感想
テーブルの上に置かれたたった一つのりんごから、一冊の絵本ができてしまうほどの想像力は、ヨシタケさんならではのもの。
想像していく話の内容は、決してメルヘンチックなものだけではありません。人間臭さを感じるところがヨシタケさんらしさなのでしょうね。
りんごが昔の失敗を思い出すと平べったくなってしまったり、悲しくなると白くなってしまったり、そんな表現の中に、ヨシタケさんの優しさや繊細さを感じることができます。
兄弟探しの場面では、「あんご、いんご、うんご、えんご、おんご、・・・」と50音、全てをイラストにして、おもしろく表現しているので、ひらがなを勉強中のお子さんには、きっと楽しく読めることでしょうね。
ヨシタケシンスケさんの絵本の中の挿絵は、シンプルな線で描かれているのですが、その表情はとても豊かなので、小さな絵のさらに細かいところまで観察してニヤニヤしてしまうことがよくあります。
ちょっとした出来事から、どんどん広がっていく想像の世界。
実は、子どもたちってこんなことを本気で考えているのかもしれないな、と昔の自分を思い出させてくれるような一冊でもあります。
この絵本を読んだあとは、日常の中の何気ないことにも、「もしかしたら」といういい意味での疑いの目と想像力をもたらしてくれること間違いなしです。
ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』は何歳くらいのお子さん向け?
●お母さんやお父さんに読み書かせをしてもらうのなら幼稚園のお子さんから十分に楽しめます。
●自分で一人読みをするのならひらがなが読めれば幼稚園のお子さんから楽しめます。
全部ひらがなで書かれているし、出てくる言葉もそんなに難しくないので、ひらがなが読めるようになったら一人で十分に楽しめる絵本です。
ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』本の概要
題名:『りんごかもしれない』
作者:ヨシタケ シンスケ
出版社:ブロンズ新社
発行日:2013年4月25日
ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』作者紹介
作者のヨシタケシンスケさんの紹介です。
絵本ナビ 子どもに絵本を選ぶならヨシタケ シンスケ1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究家総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表。主な著書に、スケッチ集『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、挿絵の仕事に「レッツ・シリーズ」(文 ひこ・田中/そうえん社)、『トリセツ・カラダ』(文 海堂尊/宝島社)などがある。2児の父。
出典:『りんごかもしれない』
じゃあどうする? まとめ
ヨシタケ シンスケさんの絵本が大好きで、本屋に行くと必ず絵本のコーナーで足が止まってしまいます。
新しい本は出たかな〜なんて思いながら、ひと通り見回すのです。
子どもに読み聞かせをしてあげても、子どもが一人読みをしても楽しいのですが、私にとっては大人の絵本なのです。私自身がヨシタケシンスケさんの目を通して世の中や自分のことを見つめることができるようで。
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