筋肉疲労・筋肉痛とは何か? 起きてしまった時の対策や予防について

pain トレーニング室
稽古中の室長
稽古中の室長

最近、空手の稽古や波乗りはサボり気味。
とはいえ軽いトレーニングは続けています。


でもそんな状態でときどき無理をしてしまうことがあります。

するとどうでしょう、当然のように筋肉痛で悲惨な状況に!

皆さんはいかがですか?

特別なトレーニングや極端に大変な作業をしなくても、ちょっとした運動や作業で筋肉疲労を感じることはありませんか?

「足が疲れた〜」「腕が筋肉痛で痛い」

そんなときこそ「じゃあどうする?」というわけで、今回は筋肉疲労や筋肉痛の原因やその解消方法、そして予防などについてまとめてみました。

筋肉疲労 や 筋肉痛 とは

スポーツで激しく体を動かしたあとや、トレーニングで体に重い負荷をかけたあとなどは、筋肉が疲れたり、時には筋肉の痛みを感じることがありあます。また、普段、運動をする習慣がない方などは、ちょっと体を動かしただけでも、筋肉の疲れや痛みを感じることがあります。
このように運動のパフォーマンスが落ちた状態が筋肉疲労であり、継続的な痛みを伴うものが筋肉痛といわれる状態です。

筋肉疲労や筋肉痛の原因

運動などによって生じる筋肉疲労は、運動の結果生じた乳酸のせいだと言われてきました。確かに連続して筋肉を動かし続け筋肉の動きが悪くなったとき、同時に筋肉中の乳酸の量も増えていることから、乳酸が筋肉の動きを悪くしている、すなわち筋肉疲労の原因物質だと思われてしまうのも仕方ないことだったのかもしれません。

しかし、1990年代から乳酸の蓄積は筋肉疲労にあまり影響しないという研究報告が増え、乳酸は老廃物ではなく、エネルギーの基であり、筋肉疲労を和らげ筋肉の動きを維持させてくれる物質でもあることがわかってきています。

それでは、筋肉疲労や筋肉痛の原因は何なのでしょうか?

その原因は、様々な要因が絡み合っていて、ひとつのことに特定できないものであるといわれていますが、ここでは筋肉疲労と筋肉痛の原因についていくつか説明したいと思います。

筋肉疲労と筋肉痛を厳密に分けることは難しいのですが
一応、次のように分けて記述しています。
  ・筋肉疲労は筋肉の動きのパフォーマンスが低下した状態
  ・筋肉痛は筋肉に痛みを感じている状態

筋肉疲労の原因

エネルギー源の枯渇

筋肉を動かすためのエネルギー源が枯渇してしまうために筋肉疲労が起きてしまいます。

筋肉を動かすためには当然そのためのエネルギーが必要となります。そのエネルギー源が筋グリコーゲンと呼ばれるもので、その名の通り筋肉に蓄えられたグリコーゲン(糖の一種)です。この筋グリコーゲンが運動の際にエネルギー源として利用されるのですが、特に長時間に及ぶ激しい運動では、この筋グリコーゲンは枯渇してしまうため、エネルギー不足になった筋肉は疲労状態に陥ってしまうのです。
余談ですが、このグリコーゲンは脳にも蓄えられていて、脳グリコーゲンと呼ばれているのですが、記憶の定着などに重要な役割を果たすことも知られています。

水素イオンの作用

筋肉が酸性に傾くことで筋肉疲労が引き起こされるのです。

最近の研究では、筋肉疲労の原因は筋細胞における乳酸の生成過程で水素イオンも生成され、結果的に筋肉のpHのバランスが酸性に傾くことが筋肉疲労の原因の一つとして考えられています。
この際、生成された乳酸は、肝臓でグリコーゲンに再び合成されてエネルギーとして再利用されます。

活性酸素の影響

活性酸素は疲労の大きな原因のひとつと言われています。

活性酸素は私たちの日々の生活において体内で産生されています。普段は体内の酵素などによって速やかに処理され無毒化されているのですが、運動によって活性酸素の量が急激に増えると処理しきれなくなってしまいます。この処理しきれなくなった活性酸素が筋肉の細胞を攻撃し、筋肉細胞の膜を破壊してしまうために結果として筋肉疲労が起こると考えられています。

また、活性酸素は筋肉だけでなく身体中の細胞を傷つけてしまうため、がんや心血管疾患、生活習慣病など様々な疾患をもたらす要因になってしまいます。

筋肉痛の原因

炎症

運動中に生じる筋や結合組織が損傷した後に炎症が起きて筋肉痛が引き起こされます。

例えばスクワットをしているとき、太ももの表側の筋肉は引き伸ばされながらもブレーキをかけている状態になります。このとき筋繊維やその周辺の結合組織が傷いてしまい炎症が起こるのです。炎症が起きた場所では、ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン、セロトニンなどの痛みを発する物質が生成されるため、筋肉痛が起きてしまうと考えられています。

筋肉痛が起きてしまったら

筋肉痛の原因として筋肉の炎症について書きましたが、炎症反応には発熱が伴うため、痛みが強かったり熱を持っている場合などは、冷やすこと痛みを軽減できることがあります。ただし、冷やしすぎは血行を悪くしてしまうこともあるので、10分〜20分程度が目安と言われています。

発熱もなく比較的状態が落ち着いているときは、入浴などによって患部を温め血行をよくすることで、痛んだ筋肉の回復を助けることにつながります。

また、運動を終えたあとは、バランスの取れた食事をとることや、ゆっくりと休養することも良いでしょう。

予防について

筋肉疲労や筋肉痛を予防するためには、日頃の運動習慣、運動前のウォーミングアップ、運動後のクールダウン、日頃の食生活の改善などが有効です。

日頃の運動習慣

日頃からの運動習慣は、体力や筋力の維持や向上だけでなく、心肺機能の向上(疲れにくくなる)や生活習慣病の予防などなど、健康な生活を送る上では欠かせないものです。

運動前のウォーミングアップ

運動を始めるときには軽い体操を行い、血流をよくしてから軽いストレッチで筋肉の柔軟性を促すことで、筋肉の細胞ができるだけ損傷しにくい状態をつくってあげることが大切です。適度なウォーミングアップは怪我の防止にもつながるので大切ですね。

運動後のクールダウン

運動を終えたあとは、急激に動きを止めてしまうのではなく、できれば軽いストレッチなどを行って血流を促し、酸素や栄養、老廃物の流れをよくしてあげましょう。また、疲れや痛み、発熱の状況などをみんながらアイシングをしたり、温めたりすることも大切です。

食生活

筋肉疲労としての食生活については、いくつかのポイントが考えられます。

①筋肉を維持・向上させるための食事
②体内の血流をスムーズにするための食事
③活性酸素が溜まりにくいような食事


①筋肉の維持・向上においては、タンパク質の摂取が欠かせません。日頃、どの程度の運動をするのか、そしてどのような体づくりを目指すのかなどを見極めながら、摂取するタンパク質の量や質を決めていくと良いでしょう。


②疲労の予防や回復のためには、細胞に酸素や栄養を運び込み、老廃物を運び出すための血液の流れがかかせません。この血流がスムーズであることが、筋肉疲労にも大きく影響します。血流に影響の大きいコレステロールをしっかりとコントロールするためにも、青魚などを積極的に食べるなど血液をサラサラにするための食事を心がけると良いでしょう。


③筋肉疲労の原因のひとつとして、活性酸素の影響について書きましたが、その活性酸素を取り除く力(活性酸素除去能)を食べ物は持っています。ただ、食材によってその能力は大きく違い、プルーンやレーズン、ブルーベリー、ブラックベリー、にんにく、ケール、赤ワイン、ほうれん草などは強い活性酸素除去能をもっていることがわかっています。こうした食材を積極的に摂取することで、活性酸素による疲労に負けにく体づくりができるのです。

注意したいこと

普通の運動や作業に伴う筋肉痛は概ね数日でよくなりますが、痛みがあまりにも長びいたり、ひどくなっていくような場合には、必ずお医者さんの診察を受けるようにしましょう。

じゃあどうする? まとめ

日頃の運動不足がたたり、全身が筋肉痛に!

そんなとき 「じゃあどうする?」と考えているうちに、「なんで筋肉は疲れるんだろう?」「なんで筋肉は痛くなるのだろう?」と素朴に疑問に思ったのです。

そこで、自分の疑問に対して答える形で今回はまとめてみました。

私自身、筋肉痛の原因は「乳酸」だとずーっと決めつけていました。

しかし、時は流れ、今では「乳酸」は悪者ではなくなっていたのです。

私たちの知識も過去からの思い込みによって間違っていることも多いのでしょうね。

今回まとめた内容もいずれは新しい事実によって上書きされていく時が来るのだと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

室長
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