お父さん
この間、職場で Society 5.0 の話が出たんだけど、話についていけなくて・・・
この4月から娘が小学生になったばかりだから、学校はどう変わるのかなって気になってます。
Society 5.0といきなり言われても
??? となってしまいますよね。
学校現場でも正直なところ、ほとんど耳にすることがない言葉だと思います。
今回の記事では、Society 5.0 についてわかりやすく説明し、学校がどう変わっていくのか、お父さん方向けにまとめてみました。
私自身が学校現場で実際に感じていたことをおり混ぜながら、子たちへのメリットなどもお伝えします。
Society 5.0 を一言でいうと
Society 5.0 は内閣府が 「第5期科学技術基本計画」 の中で示した考え方です。
この計画にはこう書かれています。
Society 5.0 とはサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)
内閣府:第5期科学技術基本計画
Society 5.0 で学校はどう変わるの?
Society 5.0 に生きていく子どもたちの学びの場である「学校」はどう変わっていくのでしょうか?
<結論>
教育環境のありとあらゆるものが ICT 化されていくのはもちろんのことです。
教科書、ノート、筆記用具、黒板。
でも、一番大きなことは、子どもたち一人ひとりの情報をサイバー空間でビッグデータとして AI が解析し、その子どもに合った最適な学びを提案してくれるということだと思っています。
同じ教室で学んでいても、それぞれが AI からの提案によって違った学習を進める場面も増えてくることでしょう。
<もう少し詳しい説明>
文部科学省の進めている施策などからひも解いてみましょう。
GIGAスクール構想との関係
文部科学省の文書のなかで「 GIGA スクール構想」と「 Society 5.0 」が同時に出てくるものと言えば、文部科学大臣からのこのメッセージです。
「子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて ~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~」
このメッセージの一部を抜粋すると
Society 5.0 時代に生きる子供たちにとって、PC 端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです。今や、仕事でも家庭でも、社会のあらゆる場所で ICT の活用が日常のものとなっています。社会を生き抜く力を育み、子供たちの可能性を広げる場所である学校が、時代に取り残され、世界からも遅れたままではいられません。
文部科学大臣かメッセージからの抜粋
要するに今、学校に通っている子どもたちは、「 Society 5.0 時代に生きる子供たち」ということ。
そして、その子どもたちの学びの場が、「時代に取り残され、世界からも遅れたまま」であるということを文部科学省も危機感をもって課題視しているということなのです。
Society 5.0 に学校現場を対応させるためにも、GIGAスクール構想の実現が必要不可欠とうことですね。
Society 5.0 による教育の変化
文部科学省は次のような変化を示しています。
<AI等の先端技術が教育にもたらすもの>
●スタディ・ログ等の把握
●分析による学習計画や学習コンテンツの提示
●スタディ・ログ蓄積によって精度を高めた学習支援(学習状況に応じたコンテンツ提供、学習環境マッチング等)
<学校が変わる・学びが変わる>
●一斉一律授業の学校
→ 読解力など基盤的な学力を確実に習得させつつ、個人の進度や能力、関心に応じた学びの場へ
●同一学年集団の学習
→ 同一学年に加え、学習到達度や学習課題等に応じた異年齢・異学年集団での協働学習の拡大
●学校の教室での学習
→ 大学、研究機関、企業、NPO、教育文化スポーツ施設等も活用した多様な学習プログラム
実際に動き始めていること
実際の学校現場ではいくつかのことが動きだしています。
<学校現場での動き>
・スタディ・ログ等を蓄積した学びのポートフォリオの活用
・小中高を通じてデータ・サイエンスや統計教育を充実
・小学校高学年における専科教員の配置
Society 5.0 による子どもたちへのメリット
自分の能力に合った学習が可能になる
先ほど「 AI 等の先端技術が教育にもたらすもの」として示したものですが、
●スタディ・ログ等の把握・分析による学習計画や学習コンテンツの提示
●スタディ・ログ蓄積によって精度を高めた学習支援(学習状況に応じたコンテンツ提供、学習環境マッチング等)
こうした技術によって、今まで担任一人では対応しきれなかった、本当の個人に合った学習というものが提供できるようになります。
<コラム:私の体験談>
自分が教師だった頃、クラス全体に向けて授業をしようと思うと、40人が同時に納得できるような授業はできませんでした。
ある程度のレベルにターゲットを絞って授業を進め、その中でついていけない子どもをいかにフォローしつつ、できる子どものモチベーションを途切らせないようにするか、そんなことを考えながら進めていたものです。
正直なところ、45分間の授業のなかだけで、子どもたち全員に100%理解させることは、難しいことでした。
そんなときは、授業後に時間を見つけて補修のような形でフォローするのですが、せっかくの休み時間を奪ってしまうことにもなり、これでいいのかと迷うこともしばしばです。
もし、AI の活用で個人に最適化された学習が可能になれば、一斉授業とは別の時間に個々のレベルに応じた学習の時間を設定することで、どんな子どもも安心して学習に取り組めるようになるのかな、などと思ったりします。
「学校」という枠に縛られない学習の場が提供される
勉強は「学校」に通ってするものという従来の固定観念も、最近では少しずつ変わりつつあります。
でも、選択肢が十分あるという状況ではありません。
もし、オンライン学習のような環境が整えば、課題を抱えていてどうしても学校に通えない子どもたちにとってはとてもありがたい機会が生まれることになります。
<コラム:私の体験談>
長い教師生活のなかで、不登校気味の子どもや、病気がちで学校に通えない子どもたちと関わることも何度かありました。
子どもたちが抱える課題は様々なのですが、通えない原因を解決することと並行して、その間の学習を保証してあげたいという思いがいつもありました。
そんな子どもたちには、毎日の学習内容や、クラスの様子、ときにはプリントなどの学習課題を家庭に届けたものです。
でも届けられる情報の量はとても限られたものでした。
もし、新しい技術で家庭や病院でも、あたかも教室で友達と過ごしているような環境を作ってあげられたらなと思っていました。
5Gや AI の力であっという間に実現できそうな気がしてしまうのですが・・・
Society 5.0 が子どもたちに求めるもの
共通して求められる力
・文章や情報を正確に読み解き対話する力
・科学的に思考・吟味し活用する力
・価値を見つけ生み出す感性と力、好奇心・探求力
新たな社会を牽引する人材
・技術革新や価値創造の源となる飛躍知を発見・創造する人材
・技術革新と社会課題をつなげ、プラットフォームを創造する人材
・様々な分野においてAIやデータの力を最大限活用し展開できる人材 等
Society 5.0 について、もう少し詳しく説明すると
ここでSociety 5.0についてもう少し詳しく説明します。
Society 5.0 で実現する社会
今までの社会(Society 4.0)とは何が違うのでしょうか?
まず、今までの社会、いわゆる情報社会(Society 4.0)では、様々な分野間で知識や情報の共有が十分にされていませんでした。
例えば、ある携帯会社が持っている利用者の携帯からのGPS情報などはその企業のみが、その独自のクラウドの中に溜め込んでいました。
もちろん個人情報などを扱ってるので当然のこととは思います。
でもこれからは、そうした各企業や各分野において分断されていた情報が共有され、必要に応じて AI が解析し、社会の課題解決に結びつけていくこともできるようになります。
IoT(Internet of Things)で得られる膨大な情報もその対象になり、社会問題の解決につながっていくことでしょう。
例えば、家電機器のリアルタイムの情報と、一人老人世帯の情報を重ね合わせることで、万が一のときの対応に生かすなど、少子高齢化の一つの課題を解決に導いていくことが可能になります。
こうした活用が全ての分野で進み、少子高齢化や地方の過疎化、貧富の格差などの課題を克服していけるのが、Society 5.0 で実現する社会の一つの姿なのです。
Society 5.0のしくみ
じゃあ Society 5.0 はどんな仕組みで動いているの? と思いますよね。
Society 5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムであると、先ほど内閣府からの言葉を引用しました。
下の図は内閣府が作成したものですが、
「情報が自動的に収集」
→ 「ビッグデータとして蓄積」
→ 「必要に応じてAIが解析」
→ 「新たな価値として提供」
とう流れがわかりやすく示されています。
じゃあどうする? まとめ
いかがでしたか?
Society 5.0で学校がどう変わるのか?
学校現場での私自身の経験なども交えながら、お父さん向けに説明してみました。
Society 5.0では、「 IoT 」や「 AI 」というものが大切なキーワードなっている様子がよくわかります。
今までの変化には、教員の研修や努力で対応できましたが、「 IoT 」だとか「 AI 」のことになってくると、専門家とのタイアップが必須になってきますね。
家庭での教育にも変化が求められてくることでしょう。
子ども向けのプログラミングスクールの増加などもそうしたことの現れなのですね。
ここで、子ども向けのプログラミング教室37校分についてまとめた記事と無料体験がおすすめなプログラミング教室についての記事があるので、よかったらこちらもお読みください。
コメント