もはやロジックだけでは正解を導き出せない時代を生きるすべてのビジネスパーソンに必須の、「思考メソッド」です。では、どんなメソッドなのか。トップデザイナーたちが実践している思考法を抽出し、理論化し、それぞれの仕事(企業経営や商品開発はもちろん、営業やマーケティングに至るまで)に転用することによって、これまで誰も思い浮かばなかった、優れた答えを導き出す―。これが、デザイン思考の大枠
もっと簡単に言えば、非デザイナーのあなたに「トップデザイナーの目玉と脳みそ」を開放するメソッドが、デザイン思考なのです。
HELLO,DESIGN 日本人とデザイン 序章より
目次
序章 誤解だらけのデザイン思考
第1章 すべての人は「デザイナー」である
第2章 デザイン思考のマインドセット
第3章 デザイン思考 4つのプロセス
第4章 デザイン思考を実行する組織と、「個」のあり方
終章 デザイン思考 日本人最強論
おわりに:日本再興は教育からはじまる
序章からおわりにまでを読んで、自分なりに大切だなと思うところをまとめてみました。
序章 誤解だらけのデザイン思考
筆者の石川氏は、日本の文化のことを「デザイン思考そのもの」といえる文化が脈々と続いていて、私たちはそれを幼いころからずっとずっと浴び続けているというのです。
これは一体どういう意味なのでしょうか?この問いの答えは終章にあります。
第1章 すべての人は「デザイナー」である
アートとデザインの違いとして、次の様に述べられています。
アートの最も大きな特徴は、「自己表現」であり、デザインの根底にある考え方は、人々の心や行動の変化から、そこにある潜在的な課題や願望を読み解き、あるべき姿をかたちにすること。
すなわち、デザイナーとは、問いを設定し、その問いを解決する人である。
そして、すべてのビジネスパーソンはデザイナーであるべきだというのが、筆者の考えです。
第2章 デザイン思考のマインドセット
デザイン思考において、「マインド」と「スキル」は車の両輪です。
日本人は自分自身にかけているブレーキが強いから、まずは「マインド」の方を意識すべきだということです。
そのためにまずは「デザイン思考家として持つべきマインドセット」を知ること。
そして、そのデザイン思考のマインドセットを意識することで、クリエイティブ・コンフィデンス「自分の創造性に対する自信」を育てる一歩にするということです。
デザイン思考の4つのマインドセット
①曖昧な状況でも楽観的でいること
②旅行者/初心者の気分でいること
③常に助け合う状態をつくること
④クリエイティブな行動を信じること
自分がクリエイティブではないという、強い「ブレーキ」をいかに外していくのか、このマインドセットを実行することから始まるのですね。
第3章 デザイン思考 4つのプロセス
いよいよデザイン思考のプロセスに入っていきます。
すなわちデザイン思考は実際にどのように実践していくのか、ということです。
まずは、デザイン思考のスタート地点として、「人間中心」という考え方をあげています。
生き方や働き方が多様化し、一人ひとりがまったく違う趣向を持ち、異なる「願い」を抱いているからこそ、人からスタートしなければならないというのです。
また、デザイン思考をするときには、多様性に富んだ視点やアイデアを得るために、チームづくりからスタートする必要があるといっています。
そのための4つのプロセスとは?
4つのプロセス
①デザインリサーチ
②シンセシス/問の設定
③ブレスト&コンセプトづくり
④プロトタイピング&ストーリーテリング
大まかにいうと、リサーチして材料を集め、問いを設定し、ブレストでアイデアを出し合い、プロトタイプの作成を通し、フィードバックをもらい、そしてストーリーで語るということです。
この4つのプロセスそれぞれについては、本文の中にとても丁寧に書かれています。
第4章 デザイン思考を実行する組織と、「個」のあり方
この章では、デザイン思考を実行できる組織や社会とはどのようなもので、その組織や社会の中で、私たち自身が「個」としてどのように生きていくべきかというテーマで書かれています。
様々な分野の自立したプロフェッショナルたちが、「助け合いの組織」としてお互いにコラボレーションしていく、そんなチームづくりが肝要なのですね。
終章 デザイン思考 日本
なぜ日本人が「デザイン思考最強」なのか?
人を徹底的に「観察」し、どうしたら人が喜んでくれるのかを考え抜いた結果生み出された、「人間中心」のデザインについて、自動販売機や旅館でのサービス等具体的な例を挙げながら述べられています。
私たち日本人はこのような極上のデザインを子どものころから、無意識に浴び続けているというのです。
いわれてみると確かに、と思うことばかりです。
「日本人は『最強のデザイン思考家』になるポテンシャルを秘めている」という言葉には、とても勇気が湧いてきますね。
最後に「日本人に欠如している『パッケージ化する力』」について書かれています。この「パッケージ化」でルールメーカーを目指し、ゆくゆくはイギリスのようにクリエイティブ産業で国家をけん引していけるようになれるといいなと感じました。
おわりに:日本再興は教育からはじまる
「読み・書き・そろばん + デザイン」
この 「 + デザイン」の部分、確かに日本の教育には全く意識されていない部分ですね。
でもこれからの日本が進むべき方向を考えるとしたら、「 + デザイン」を子どもたち全員が学べるような教育に改革していく必要を強く感じます。
じゃあどうする?
私の力で教育改革を!というのは、いきなりは無理そうなので、まずは自分の意識改革から。
第2章のデザイン思考のマインドセットからスタートしたいと思います。
こうやってブログを書くこと自体が、どこかで人の役に立ち、何かが少しでもいい方向に変化していく可能性があるのだとしたら、その可能性を少しでもアップさせるためにも、デザイン思考は大切な思考方だと感じます。
『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』はビジネスパーソンだけでなく、家庭の主婦、学生などあらゆる人たちに読んでほしい本です!
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