独特の作風をもつ ヨシタケ シンスケさんの『もうぬげない』をご紹介します。読み聞かせのコツやあらすじ、感想も!
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』を読み聞かせ?そのコツは
この本をお母さんが読み聞かせするとしたら・・
家庭での読み聞かせでは、イラストの細かい部分にも目がいくように!
家庭でこの本を読み聞かせするとしたら、子どもにもよりますが、2歳くらいのお子さんから大丈夫だと思います。
とにかく、自分で服の脱ぎ着を始めるようなタイミングから、対象年齢に入るのかなという感じです。
ぜひ、イラストの微妙な感じにちょっとでも目を向けるような語り方ができると楽しさも倍増します!
読み聞かせのボランティアさんなどで、小学校などで大勢の前で読み聞かせをするとしたら・・
教室で読み聞かせをするのなら、プロジェクターで拡大して!
ヨシタケシンスケさんの本は全てイラストが小さいですよね。
しかも、目の下のクマとか、微妙な足の向き、お腹のたるみ具合など、本当に細かいところがポイントになっています。
ですので、小学校の教室の前に立って、絵本を子どもたちに見せても、細かい部分の描写を楽しむことができません。
そんなときは、先生に頼んで、ぜひ、書画カメラとプロジェクタを使って、スクリーンに大きく映しながら読み聞かせをさせてもらいましょう。
絶対に子どもたちは喜びますよ。
書画カメラとプロジェクタは最近、どこの学校に置かれるようになってきているので、事前に担任の先生や係の先生に頼んでおけば大丈夫だと思います。
想像するだけで、教室中で大笑いしている子どもたちの笑顔が目に浮かんできます。
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』で服の脱ぎ着のしつけを身につけよう!
この本を子どもに読み聞かせをしたら、必ず、自分で着替えることに興味を持ちます。
もし、興味を示さないとしたら、それは、もうすでに自分で脱ぎ着ができているお子さんなのかなと思います。
今までお母さんやお父さんにやってもらっていたお子さんならば、必ず、「自分でやる」そう言い出すこと間違いなし!と思えるほど、興味をそそるお話なのです。
ヨシタケシンスケさんのイラストはきっと子どもの心にも刺さりますよ!
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』 あらすじ
「ぼくのふくが ひっかかって ぬげなくなって もう どのくらい たったのかしら。』
1ページ目を開いたところで、すでに笑いの予感!
どうやら、お母さんがお風呂に入ろうといったところから、このちっちゃな事件が始まったようです。
一人で脱げると思って始めてはみたものの、そう簡単にはいきませんでした。ボタンをはずし忘れたシャツは首にひっかかり、困ったことに・・
「あるある」という読者のつぶやきが聞こえてくる場面です。
ここからが、普通とは違ったヨシタケシンスケさんのヨシタケワールドへの入り口!
「このまま ずっと ぬげなかったら どうしよう。」
「ぼくは このまま おとなに なるのかな。」
さてさて、少年の妄想の世界は、いきなり偉くなった人の話。
舞台に並ぶ偉いひとたちに混ざって服が脱げないままの少年も。
脱げないんだったら、脱がなきゃいいんだと強がりを言うものの、「のどが かわいたら」とか「ネコのミータが おなかを コチョコチョしたら」などと悩んでしまいます。
「ぼくみたいなこは ほかにも いるかもしれないよ。」
と同じ状況の仲間を想像したり。
あれや、これやと想像しながらも
結局は・・・
きっとお子さんも「やってみよう!」と、そんな気持ちになれるのでは・・
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』 感想
道徳的に何かを教え込むような、そんな絵本ではまったくなく、押し付けがましい内容はゼロ。
おかしくて、おかしくて、涙を流すほど笑えるけど、質の低いギャグがあるわけでもない。
日常の「あるある」という場面からスタートして、ヨシタケシンスケさんの感性のおもむくままに広がっていく独特の想像の世界。
その世界そのものが面白くてたまらないのです。
あらすじは書いてみたものの、言葉ではいくら書いても伝わらない、イラストの微妙な表情。
正直に書くと、「ぜひ手にとって読んで、イラストの細部まで味わってください」としかいいようのない絵本です。
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』は何歳くらいのお子さん向け?目的別にお伝えします
しつけの本として
洋服の脱ぎ着のしつけの本当しては、2歳くらいから。
お子さんの成長の様子にもよるのですが、万歳をして上手にお母さんに着せてもらうことができるようになったら、一緒に読んであげても楽しいと思います。
少しずつ自分でやってみようという気持ちも芽生えてくることでしょう。
実際に自分で着替えるのは、もう少し先になるとは思いますが。
面白さを伝える本として
この本の面白さを味わうのであれば、3歳以降の子ども向け。
この本の特徴として、イラストや状況の面白さ、そんなヨシタケワールドの面白さを味わうという意味では、3歳以上のお子さんに向いているなと感じます。
癒しの本として
癒しの本として読むのであれば、大人向け。
この本に限らず、ヨシタケシンスケさんの絵本は、大人が読んでも本当に楽しめる絵本です。
イラストの微妙な表現や想像の世界の面白さを深く味わうためには、かえって大人の方が向いているのではと思ってしまいます。
ヨシタケシンスケ著『もうぬげない』 本の概要
題名:『もうぬげない』
作者:ヨシタケ シンスケ
出版社:ブロンズ出版
発行日:2015年10月25日(初版)
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『もうぬげない』 作者紹介
ヨシタケ シンスケ1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究家総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、広告美術など、多岐にわたり作品を発表。主な著書に、スケッチ集『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、挿絵の仕事に「レッツ・シリーズ」(文 ひこ・田中/そうえん社)、『トリセツ・カラダ』(文 海堂尊/宝島社)などがある。2児の父。
出典:『りんごかもしれない』
じゃあどうする?まとめ
ヨシタケ シンスケさんの絵本が大好きで、本屋に行くと必ず絵本のコーナーで足が止まってしまい、「新しい本は出たかな〜」なんて思いながらひととおり見回すのです。
「絵本は子どものもの」ではないな、大人こそ楽しむべき!そう思わせてくれるところが大好きです。
一つのもの、一つのできごとから、深くそして広く膨らんでいくヨシタケシンスケさんの想像の世界をたくさんの子どもたち、大人たちに楽しんでほしいと願ってやみません!
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