独特の作風をもつ ヨシタケ シンスケさんの『思わず考えちゃう』をご紹介します。この本は大人向けのイラストエッセイ集という感じ。
『思わず考えちゃう』 あらすじ
普段スケジュール帳に描きためているイラストに言葉を添えたのがこの本の成り立ち。
そのイラストはいつもストレスがたまったときに描くのだそうです。幸せな気分のときには描かないというところがミソ。
<目次>
はじめに
第1章 ついつい考えちゃう
第2章 父だから考えちゃ
第3章 ねむくなるまで考えちゃう
おわりに
それでは、早速『思わず考えちゃう』のあらすじを始めたいと思います!
はじめに
この本の成り立ちについて書かれているのですが、この時点でもうヨシタケワールドに引き込まれる感じがします。
第1章 ついつい考えちゃう
この章には15のエッセイが収められています。
その中から幾つかあらすじをご紹介しますね。
「明日やるよ。すごくやるよ。」
ヨシタケさんが気に入っているフレーズ。
何かあると心の中で何度も繰り返し呟くのだそうです。
寝る時に、三回。明日やるよじゃだめで、「すごくやるよ」ていうところがキーワードなのだとか。
なんだか、このフレーズ使ってみなくなります。
「ぼくのストローのふくろ」
ストローを取り出したあとの袋の始末の仕方についてのおはなし。
ヨシタケさんはたたんでからギュッとひねる。
奥さんはそのまま。
3連のヨーグルトの台座の厚紙の始末についてはヨシタケさんは1つ食べたら、厚紙はとって処分。
奥さんはそのまま。
しかも2つ食べ終わっても、厚紙はつけたまま冷蔵庫に!自分にとっては気になることでも、他人にとってはどうでもいいことだったり。
そんな一コマをヨシタケさんは「自分にとって遠い部分が、実は身近なあちこちに転がっているなあってことを、ストローのふくろ一つにしても、思っちゃったりするわけです。」と語っているのです。
第2章 父だから考えちゃう
この章には19のエッセイが収められています。
ここでも、2つほどあらすじをご紹介します。
「もータクマ!オマエ クチのまわり ケチャップだらけじゃんよ!」
フードコートでの一コマ。
ヤンキーっぽいお母さんがケチャップだらけの子どもの口をふいているところ。
よく見るとお母さんの口のまわりもケチャップだらけ。
どんなお母さんの子どもを大事にしている感じと、その懐の深さを表現したお話です。
「どうでもよすぎて」
言わないこと、大事すぎていえないことにことばをつけていきたいというヨシタケさんの思い。
この両方のことに丁寧に一つずつ言葉をつけていく作業を楽しんでいるのがヨシタケさん。
身の回りにたくさんあって、でも言葉にされずに過ぎ去っていく「もの」や「こと」をしっかりと見つめ、イラストに描き、丁寧に言葉を添え、作品にしていく。
こうした表現がヨシタケさんの人生なんだな、とつくづく感じるエッセイです。
第3章 ねむくなるまで考えちゃう
この章には 16のエッセイが収められています。
ヨシタケさん曰く、「より、めんどくさい感じになります。」とのこと。
さて、ここでも2つほどあらすじを紹介します。
「できないことを できないままにするのが仕事」
できないことはそのままでいいの?と思ってしまいますが、ここでヨシタケさんがいいたいのは、今自分が持っているものを磨くという感じ。
できないことをそのままにするという覚悟とも言っています。
自分のプラスの面に力を注ぎ、磨きあげたことで、今のヨシタケさんが存在するのだな、とそんなお話です。
「ボクはあやつりにんぎょう」
「誰か、あやつってくれないかな。こういうふうに思ってる人、実は、けっこういるんじゃないでしょうか。」と始まるこのお話。
日常の生活でヨシタケさんは、ほとんど奥さんに決めてもらっているとのこと。
そして、決まったことを全部見せてくれる本や映画とか、再生ボタンを押すだけのものが大好き。
「何が食べたい?」ではなくて「これ食べよう!」と言ってもらえた方が嬉しい。
だから、自分で決めることが好きな奥さんと相性がいいのだということ。
「自然とそういうふうに進化してったと思ってます。」とご自身のことをそう語っています。
『思わず考えちゃう』 感想
さてさて、この本を読んだ感想を章ごとに書いてみますね。
第1章の感想
第1章では日頃の生活の中のちょっとした場面を切り取って、それをイラストにし、ヨシタケさんらしい切り口でエッセイを綴っている感じ。
そのヨシタケさんらしいというのは、多くの人がとくに気にもとめないようなこと、たとえ気になってもさらっと通り過ぎてしまうようなこと、そんな場面を鋭く切り取り、深堀りしていく感覚のことです。
どのエッセイも読んでみると「あるある」という場面ばかりです。
でも、そのときにこれだけ思考をめぐらせるかと言われたら・・
ありえない!えっこんな場面がエッセイになるの?その連続なのです。
第2章の感想
第2章では「父親」という目をとおして子どもを見つめたときの気づきというか発見をイラストにし、エッセイを綴っています。
子育てをしたことのある親ならば、誰でも遭遇したことのある場面ばかり。
でも、やっぱりそこはヨシタケさん。
無意識に通り過ぎることはなく、しっかりと心のシャッターを切り、何気ない場面を形にしているのです。
こんな風に子育てができたら、どんなに楽しいことかと思ってしまう場面ばかりです。
今、子育てに追われているママやパパ、そしてこれから子育てをするママやパパにも読んでもらって、これから遭遇する楽しい場面への心の準備をしていてほしいななんて思ってしまいます。
第3章の感想
第3章は、ヨシタケさん自身が、「めんどくさい感じになります」といっているだけあって、ヨシタケさんの価値観が溢れまくっている感じがします。
どのエッセイを読んでも、ヨシタケさんの繊細さや優しさなどに触れることができます。
繊細さや優しさってたくさんありすぎると、時に前に進めなくなってしまうような気がするのですが、ヨシタケさんはその感覚さえ作品にしてしまうのですね。
だからこそ、読者の私たちの心の中にある「モヤモヤ感」が代弁されたようで、「あるある」とか「そうそう」などと同調しながら微笑ましく思い、気がつくと癒やされているのだなと感じてしまいます。
このイラストエッセイを読んでいて感じるのは、言葉から感じることに加え、なんといってもイラストから入ってくる情報の強烈さが印象的です。
さすが絵本作家だなとつくづく感心してしまう作品です。
ぜひ、この本を手にとって、小さなイラストの細部に表現された思いを感じ取ってほしいなと思います。
子どもが喜ぶ!絵本読み聞かせアプリみいみ『思わず考えちゃう』を読んでほしい人
まずこの本『思わず考えちゃう』を読んでほしい人は
「ホッとしたい人」そして、「ちょっと立ち止まって考えたい人」
この本は、ありふれた日常の一コマを切り取って、ヨシタケさんらしい視点での解釈が綴られた本です。
だからこそ、日頃忙しくはたらき、家事に追われているそんな大人たちに、ホッとするひとときを感じてほしいのです。
繊細で優しいヨシタケさんの言葉やイラストだからこそ、味わえるひとときなのだと思います。
聴ける!遊べる!絵本読み聞かせアプリみいみ(GooglePlay)『思わず考えちゃう』 本の概要
書名:『思わず考えちゃう』
著者名:ヨシタケシンスケ
発行所:株式会社新潮社
発行日:2019年3月30日
『思わず考えちゃう』 作者紹介
著者:ヨシタケ シンスケさんの紹介です。
1973年神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表。絵本デビュー作『りんごかもしれない』で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞、第8回「(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞」を受賞。『りゆうがあります』で第8回MOE絵本屋さん大賞第1位、『もうぬげない』で第9回MOE絵本屋さん大賞第1位、ボローニャ・ラガッツィ賞特別賞を受賞。「このあと どうしちゃおう』で第51回新風賞を受けるなど数々の賞を受賞し、注目を集める。近著に『あるかしら書店』『ヨチヨチ父』『おしっこちょっぴりもれたろう』『それしか ないわけ ないでしょう』等がある。2児の父。
出典:『思わず考えちゃう』
じゃあどうする? まとめ
この『思わず考えちゃう 』を読み終えた後 心に残ったのは、何ともいえないほっこりとした温もりです。
もちろんゲラゲラ笑いたくなるお話もあるのですが、やっぱり「ほっこり」がピッタリきますね。
これからもこんな大人向けの作品作りもずっと続けてほしいなと切に願うのでした。
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